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脳内伝言板ディジュリドゥとの出逢い (2)

白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

1973年生まれ 静岡県出身 造形家/演奏家 農業高校造園科卒業 美術音楽共に独学。
パーカッション ディジュリドゥ奏者。

二十代前半人生は一度きりだと腹をくく...

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〜前回の続き〜

昨今、レイブや様々なイベント等の流れで、ディジュも大分知れ渡り今ではかなりの人が一度は耳にしたことがある楽器になったのではないかと思う。それでも基本的にはマニアックな楽器である事は今後も揺るがない事だとは思う。

色んな楽器がある中、なんでこの楽器にハマってしまったんだろうと時々思う事がある。これに関しては他の楽器にハマっている方も同様に思うものなのだろうけど…。
私はパーカッションと言っても特に手で叩くハンドパーカッションが好きで、結局原始的な楽器に心惹かれるみたいだ。考えてみれば作品も皆どこか原始的のような未来的のようなものが多い。そういう意味では好みはハッキリしている方なのだと思う。

それでもこれまでの人生でずっとディジュにハマっていたわけでもない。
1〜2年位吹かない時期もあるのだが、なにかのきっかけでまたぶり返す。現にアートに出逢ってからはしばらく演奏する事がなくなっていた。そして数年が過ぎ、ある作家の飲み会に誘われそのお宅に伺うとそこに竹のディジュらしきものがあった。そこで久しぶりに音を出した。もちろんその持ち主とも意気投合。
今振り返るとこの出逢いが新たなディジュリドゥ人生の始まりだったし、この持ち主が今後、私のアート人生を大きく導いてくれる大切な出逢いの一つであった。

その日からアートとディジュリドゥや楽器が私の中で融合し始めるのだった。
実はアートと出逢う前から陶器のディジュや様々な素材で制作はしていたのだがそれはあくまで楽器という側面からの切り取りでしかなかった。
この事をかわきりに、管という性質や有機的なそのフォルムにより一層惹きつけられていった。そしてある時、人体をそぎ落とすと一本の管で表現することが出来る。また2本以上並ぶと空間を掌握し始める事に気が付いた。
そうやって楽器としての側面と彫刻としての側面を融合させて改めて陶器や紙でディジュリドゥを制作し現代アートの世界で彫刻(空間芸術と時間芸術の融合として)発表するようになっていった。
私の中でゆっくりゆっくり育ち生まれ出た感じで、なるほどこうやって人生って繋がっているのだなぁと、とても整合性がとれたことを感じる経験だった。

人生には気が付けばなんでこんな簡単な事今まで気が付かなかったのかと思う事が多々ある。気が付いた瞬間、新たな世界が広がるように感じる。本質は大概単純すぎて中々見えてこないものだけれど、私にとって、それを「見ようとして生きる」という事が生きていくうえでとても大切に思っている。またその事とアートはとても密接というか、そのものと言ってもよいように感じている。いちいち物事の本質を探るのは一見面倒に思えるかもしれないが、そういう風に生きるのが楽しくて仕方ない。自分の中で新しい発見がある度に嬉しくなる。実際の所どうなのかはわからないが、何というか人生が豊かになっていくように感じている。

なんにしても私にとって色んな意味で、とても不思議な物(楽器)に出逢ってしまった。基本的にはミニマルなリズム楽器という感じなのだが、楽器とかそういうものでは割り切れない何か得体のしれないものを感じているが言葉では上手く説明できない。
これは他の楽器でも感じる事があるし、現に太鼓を叩いたり聞いたりすると血が騒ぎだす感じがするのだけれど、ディジュに関してはなんだかDNAを刺激される気がするというか、あるかないか解らないが遠い昔、太古を思いだしそうな気がするというか…。それを演奏する事自体が祈りのように思える事もある。言葉にするのは難しいがその音を聞けば何か感じる事だと思う。

ディジュは思いもよらぬ出逢いをもたらしてくれたり、多くの事を気付かせてくれたり、あきっぽい私を忍耐強くもしてくれる。私は今後もディジュから付かず離れず生きていくのだろう。

TOPの写真は【土笛】 弥生の笛と言われる出土品を参考に改良した素焼きの笛


Brain I 【キノウミタリュウ】より

【夢中】

夢の中から通ずる道をみつけた人は

寝ても覚めても描き続けている

           白砂勝敏


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1973年生まれ 静岡県出身 造形家/演奏家 農業高校造園科卒業 美術音楽共に独学。
パーカッション ディジュリドゥ奏者。

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