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Logo Mark脳内伝言板KIDS ARTWEEKS その2

白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

20代前半人...

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私の場合これは音楽だけでなくアート作品を創るのにも通じるのだが、これといった凄いテクニックがあるわけでもない。むしろかっこいいテクニックや難しい事はなるべく排除している。なんというか私の心の中にある本質みたいなものと交信するためにやっているので、無駄なものをそぎ落としシンプルにすることで私の中の本当の好みや感情に向き合える事をこれまで創作を通して学んできた。結果楽しくて仕方がない。というか自分の楽しみ方、心の喜ばせ方を知ったという事か。これは時々見た人に伝わることがある。今回の小学校、前回の高齢者、どちらもそういった事が伝わった人が少なからずいる。ということは、楽しんで表現をしていると楽しんでいることが伝わる。言葉にすると至極当たり前。でもこれまでも言葉では理解できているような気がしていたが、実体験を通してみると私の中で確固たる自信に変わる。経験は宝だ。

6年生へ向けてのキャリアトークの時、こちらは私にとって初めての授業で経験が足らず、時間調節が上手くいかなかった。その為最後の質問コーナーなど時間が無くなり出来なかったので何とも言えないが、なにか伝わってくれたら嬉しいな。授業が終わってイス片付けしている子が私を見かけて質問に来てくれたりしたんで、ちょっと救われた気もちになった。こんな大人もいます的な内容をちょっと真面目な感じで話してみた。

その他、子供たちと大きな絵巻を描いたり、3〜4年生とお絵かきとお芝居に即興で音をつけたりと色々な経験をさせていただくことが出来た。

なんでそうなったのかよくわからないけど、期間中にサインをもらう事が流行りだしたようで、在廊中のアーティストや関係者は皆子供たちのサイン攻めにあう(笑)。各々長蛇の列。取り分け面白かったのは、校長先生にまでサインをもらっていた。これも子供たちの沸き上がる衝動なんだろうなぁ

これまで私の作品は何というか大人向きというか、マニアックな大人向きと思い込んでいた。確かにそういった作品もあるのだけれど、全体を見てみるとそんなことないのかもしれないと思うようになってきた。冷静になってみれば、もとよりアートと接点がない人生だったんだからそれはそうだよね。楽しいだけでやっているわけだし。

私が思っているより子供たちは遥かに伸び伸びしていた。偶々この学校の生徒がそうなのかわからないけど、私が子供だった頃とあまり変わっていない感じで少し安心した。ただ違いがあるとすれば先生の立場的な大変さはあるのかもしれないと思ったことと、子供たちがタブレットを持っていて使いこなしているところだろうか。作品の写真をかっこよく撮って見せてくれる子がいたり、写真家になりたいと言っている子もいた。そんな意見を聞くとなんか嬉しい。
アンケートや子供たちの声なども後日いただく。恐る恐る見て見て少しほっとしたりする自分がいる。中に「かっちゃんが凄かった。」というのがあって子供のストレートな意見に、嬉しいような恥ずかしいようなこそばゆいという感じなのかな、普段あまり感じない感覚を覚えた。

今回校長先生と担当の教頭先生とは結構お話しできたのでとても良かった。時間的なこともあり難しいのかもしれないが、許されるなら現場の先生たちともっとコミュニケーションがとれたらお互い学ぶことが更に多いのかもしれないし、私的には異世界なんで興味があるところだ。

何はともあれ始まればあっという間だった。大きな問題も無く、無事に閉会することが出来てほっとした。あと企画者が素晴らしい方で、私的にはとてもやりやすかった。また、「問題が合ったら全部私が請け負いますのでとにかく難しいと思われる事でもやってみましょう」的な感じでとにかく大人の事情より、一番に子供たちの為を考えていくようなスタイル。当然責任を全部押し付ける気はないけれど、昨今そう言い切れる素晴らしい親方は中々いないよね。新しい事をやるのはいつの時代も大変なことだろうけれど、とても有意義な試みではないかと思う。

KIDS ARTWEEKSを通して、強く感じたことは、いい意味で学校では、いわば強制的に体験が出来る場所である。学校外では子供たちは親の手中にあるので、例えば美術や音楽が好きな親ならば、美術館やコンサートへ行く事もあるだろう。でも私のようにそういった事に両親とも興味がない場合は当然美術館にいった事はないまま大人になった。私にとっては美術の授業も音楽の授業もどこか絵空事だった。しかもうちの親は自分たちが音楽や絵画に興味がないからお前が出来なくても仕方がないと口癖のようにいっていた。子供の頃はそういわれるとそういうものかと悩むこともなくそう信じてしまっていた。そのことを恨んではいないし今となってみれば最高の笑い話なんだけれど。でも小学校にアーティストが来たり、話せたり、ライブを見れたり、お芝居が観れるということは、子供たちが興味あるなしにかかわらず、全員が公平に体験出来る素晴らしさを知った。これって多分凄いことだ。まぁそんなこと当たり前と言われればそれまでなのかもしれないが、その当たり前がない子供たちがいることも事実なのだ。

私のような者に何が出来るかわからないし、上手く伝わるかわからないけれど、こういう体験を通して、益々純粋に好き勝手生きようという思いが私の中に沸き上がる。

企画運営、先生方、そして全ての子供たちに感謝しかない。ありがとうございました。

          おしまい。


KIDS ARTWEEKS
KIDS ARTWEEKS その2

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白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

20代前半人...

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