連載記事

なにか創るとうれしくて名前・分かりやすい方がいいの?

紫水勇太郎・清水 豊

株式会社4DT 代表取締役
株式会社ワークス 代表取締役
Spinart運営者


1966年、栃木県生まれ。
株式会社...

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 「ブランディング」の話から、その取っかかりとして名前をどうつけるかなんて話を続けてますが、今回もその続き。
 名前をつける時って、
「どうせなら覚えてもらいやすい名前がいいよね。」
という判断をする時がありますが、これは必ずそうなのかというようなお話しです。

 前回もちょっと触れているように、割と短めでキャッチーな名前は既に使われていることが多いし、同じ名前が多いと他と識別されにくくなって結果として発見されにくくなる…なんてことが起こります。しかし、それを回避するためにいろいろやってると、どんどん長くなったり複雑になったり分かりにくくなったりもする(あれ?…これって、誰かさんの…てか自分の楽曲の方向性そのものなんじゃ???)。それを回避するために、さらに分かりやすいいい名前はないものかと思案するということになります。

 でもこれが面白いことに、「分かりやすい」ことと「記憶に残りやすい」ことはどうやらイコールではないらしいから人間ってのは面白いものです。しかもそれは、受け手側の知識・経験等々さまざまな要素によっても大きく影響を受けることのようですから、これもまた一概に「このやり方がいいぞ!」とも言い切れないわけで、結果、それなら少々緩いネーミングでも、めちゃくちゃ連呼しまくって刷り込んじゃえ!…みたいな戦略が奏功したりということになるというご時世でございます。

 じゃあどうやって考えればいいのよ、と、若干途方に暮れそうでもありますが、そこはまず、自分のお客さんになる人たちのことを考えてみましょう。
 例えば、自分のお客さんがめちゃくちゃ若い世代で、おそらくは中学1年生レベルくらいまでの英語しか知らないと想定できた場合、普段滅多に使わず、また単語文字数も多いような英単語を入れると、まずそのままでは理解してもらえないという可能性が出てきます。

 自分の経験から言うと、自分が以前やっていた「クリムゾン・シャア」というバンド名について、当初普通に欧文表記していたんですが、この「crimson char」という表記をほぼ読んでいただけない。「クリムゾン(crimson)」が当時まだ今ほど一般的でなかったということもありますが、そもそも「シャア(char)」はもう英語読みですらありませんから、そりゃ読めるはずがないわけです。
 こんな時一般の方がどうするかというと…多くはスルーします。読む努力をしてくれるのは本当に興味を持ってくれた方のみ。つまり、ネーミングとしてはちょっと失敗かなぁということになるかなと思います。
 そこで途中から表記をカタカナにしました。「クリムゾン・シャア」です。これは読めますね。で、欧文表記のバンドが多い時代でしたから、多くのバンドが列記されているような場面でもちゃんと目立ちます。しかも、こんな名前のバンドは他にありませんでしたから、混同されたり見つけられないということもありませんでした。もっとも、この名前が、ガンダムに出てくるシャアをもじって、半ばふざけてつけた名前だというところまで気づく人はまだ少なかったというのは、ホントに時代って面白いなと思う次第です(今なら多くの人がすぐにピンときますもんね)。
 つまりこれは、(完璧とは言いにくいですが)一応の分かりやすさと独自性を両立することができたということかなと思いますし、今もうクリムゾン・シャアは活動してませんが、以後、同じ名前のバンドが出てきていないことを考えても(こんな恥ずかしい名前をつけようとする人がいないだけでしょうけど)まぁまぁうまくいったネーミングかなと思う次第です。

 こんなことを考えると、名前をつける際の分かりやすさというものは、いわゆる一般的に理解されやすいということとイコールではなく、認識されやすければいいというレベルになるものかもしれないと思いますし、むしろその先で、ちょっとだけでも心に残るなんらかの印象を残すことを優先した方がいいかもしれないというようなことが言えそうと考える次第です(私たちはこれをフックと呼んだりします)。

 となると、
1. 自然に読める。
2. その名前の対象を発見識別する。
3. その名前の対象と結びつく。
4. そのバックボーンにある意味やらストーリーやらを知ってそれとともに印象として残る。
なんて流れがいいのかなと考える次第です。
 で、特に「1」と「4」は、受け手側の属性によってもかなり表現方法や方向性を工夫する必要があるということですね。

 でもさ、こんなにたくさんの名前にあふれている世の中で、そうそういい名前を見つけ出すことなんてできないよ…とか、そりゃいろいろやれるかもしれないけど、でもそれって自分とどうしてもフィットしないし、フィットする名前はもう既にけっこう一般的な名前なんだよ…とか、いろいろなジレンマも発生することと思います。
 じゃあそこでもう一工夫考えましょう。
 例えば表記方法(上記「クリムゾン・シャア」の事例とは手法として同じですが目的が違うということかなと)。そして次にデザインということになるかなと思います。

 ということで今回はこの辺で。

※ちなみに写真は、自宅から夜に撮影したもの。
※タイトル:木の葉の間の月
※使用カメラ&レンズ:Canon EOS 6D + Sigma APO DG 70 300mm 1:4 5:6

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