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Logo Mark連載記事

Logo Markなにか創るとうれしくて名前でブランディング事例-4DT~地獄のロゴ作成

紫水勇太郎・清水 豊

株式会社4DT 代表取締役
株式会社ワークス 代表取締役
Spinart運営者
YouTube「うさぎのうみちゃんねる」のおじぃ
YouT...

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 さて前回書いたように、まぁいろいろなことを考えて決まった「4DT」という名称。しかしこの後につづくロゴ制作の過程がさらに地獄でした。ということで今回は、そのプロセスについてのお話。

 「4DT」も「Spinart」もほぼ同時に進んでいたんですが、「Spinart」のロゴはもうすぐできたんですよ。「S」という文字が創り出す渦巻き状の曲線は、「Spin」という単語にすぐマッチしましたし、「A」という文字が持っている三角シェイプは、外殻を象るにはもってこいでしたし、それに三角には三角の意味というのがあって、それも重なっていい感じの裏設定が出てきます。色も、陰陽のマークのように相対するものが混ざってく感じになるし…なんて、ホントに楽しくなっちゃうくらいすんなりとできましたし、またその一案だけで決定にもなった、逆に珍しいケースかも知れません。

 問題は「4DT」です。こいつは辛かった…。

 こういうロゴをデザインする時って、もちろん最初からその単語や対象となるものの意味や要素等々は頭に入れてスタートするんですが(今回は名称決定も自分なので、そんなことしなくても頭に入ってますね)、とはいえ最初はあまり決め打ちせず、まずは落書き的に文字の流れなんかに沿ってつらつらと形作ってみるなんてことから始めたりします。
 書道をやっている人等は実感されることが多いんじゃないかと思いますが、文字って流れがあって、横に流れているようだったり縦に強い線があったり、基本が曲線だったりと、そこにいろいろな流れを感じることができるものなんです。
 なので最初は適当に書きながら、そんな流れを感じてみることからスタート…あれ? なんか「4DT」て流れがつながらなくない?…「4」と「D」はいけそうだけど、「D」の曲線で一旦流れが断ち切られて、「T」へのつながりが…う~ん。
 もうこの時点でなんか嫌な予感はしてしまってますが、まぁそれでも、いろいろな方法について検討してみるというのがこの段階です。

 で、あらかたそんな作業を進めた段階で、今度は実際にちゃんと描いてみます。
 自分の場合は今でもAdobe Illustratorを使うんですが、ここでまずやるのは、ベースとなる書体はどんなモノになるのかということ。手書きの落書き段階でだいたいの方向性は出てるので、それに合いそうな書体を見つければいいというのがシンプルな第一目標なんですが、頭の片隅ではいつでも「もっといいなにか」なんてものを探してますので、この作業中、ありとあらゆる書体を試してみるなんてことにもなったりします。結果、思ってもいなかった発見に出逢える時もありますし…まぁ今回は…ほぼ全ボツでしたけど…。辛い(苦笑)。

 そうなるともう自分で描くしかありません。ということでIllustratorのドキュメント上にグリッドを作って丸やら四角やら三角やらと直線曲線を混ぜて…あ~3文字程度の名前にしておいてよかった…等とつぶやきつつ、一から描いていくんですね。比率がどうとかいろいろブツブツ言いながら。

 するといくつかの形ができてきます。しかしこの段階ではまだ全然物足りない。なぜならそれは、単に文字らしきものを並べただけに過ぎないからですね。
 じゃあということでまた「4DT」の意味に立ち返ります。「4DT」…「For Deep Thinkers」…「深く考える」ってなによ、と。
 これがまたしんどかった。だって「考える」ってものすごく形のないものじゃないですか。それを見えるもので表現するってどういうことよ、と。
 で考えたのが、人の横顔とか脳みその図案化したものとか、さらにはシンボルとして叡智的なものはなにかないかとか。

 そんな感じで初回案を作成し、内6案(これも多いですね…自信がない証拠です(苦笑))を稔さんに見せてみました。
 結果はもちろんNG。まぁ稔さんという人はつきあいが長いということもありますけど、まるでこちらを見透かしているようなところがあって、これまでも、例えば「クリムゾン・シャア」のバンド名を決めた時のように、けっこう自信満々出だすものについてはサクッと通るんですけど、こちらが恐る恐る出しているものについては大抵そこを的確についてきたりします。
 まぁ今回も「あまりピンときてない」とか「脳のデザインが気持ち悪い」とかの評価をいただきまして、あえなく全ボツの憂き目をみた次第です。

 さぁてちゃんと本気で考えますか~(いや、それまでも充分本気だったんですが…)ということで、さらにいろいろなことを考えてみます。
 ロダンの「考える人」とかナスカの地上絵の猿とかをシンボル的に使ってみようかなとか、「考える人」ってことならパスカルの似顔絵なんか面白いかもとか、煮詰まった挙げ句、思いついたシチュエーションで電球でいいんじゃね?…とか、もうふきだしにただ「…」があるみたいなんでいいんじゃね?…とか。

 それで行き着いたのが今のロゴ。
 この今まさに「考えている」という状態が、まるで出口の見えない迷路の中を彷徨っているようなものだなぁとかも思ったりしつつ、「考える」ことってそういうことかも、なんてややこじつけてもみて、じゃあそこに「4DT」という文字は表現できるのか、なんてことをグダグダと書き始めてみた次第。
 まぁ、常々「ロゴはシンプルな方がいいよねぇ」なんて言ってたくせに、自分作のものとしては過去一複雑になっちゃって、しかも形が形なので後で名刺等を作る際にまぁ使いづらいったらないんですが、それでも、ちょっと他にはないモノができたかもなぁとは思ったりしているという次第です。

 ということでザクッとですが、ロゴ作成の過程についてのお話しでした。
 どうです? 名前決定とかロゴ決定とかの間に、どんなことを考えてるかとか、少しは参考になるような話にできましたかねぇ…まぁきっと、もっと高名なデザイナーの方なんかですと、もっと全然違うプロセスやノウハウをお持ちなのかも知れませんが、まずは一人の小さな存在がどんな四苦八苦をしたかというお話しでした。
 少しでもお役に立てたならうれしいです。

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初期ロゴ案

こちらが最初のロゴ案各種。
まぁ今こうやって見ても、そりゃボツになるよねと思ったりします(苦笑)。

4DTロゴ決定案

こちらが決定案。
なにが使いにくいって、このちょっとはみ出してる三角と迷路を辿った形跡を表す線ですよ。
あと、色の関係で、白抜きしたくなるような場面でもホント使いにくいっす。
ということで、名刺等いろいろ作成する度に「誰だこんなロゴを作りやがったのは…」というのが、ちょっとだけマイブームになりましたとさ。

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