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Logo Mark脳内伝言板石に心奪われて

白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

20代前半人...

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何時からだろうこんなにも石に惹かれるようになったのは。

子供の頃、何かのイベントで小さな石の標本セットを買ってもらった。世界中の石が十数個程張り付けられた物だったように記憶しているが、それが嬉しくて宝物のように感じていた。特にマラカイトやアマゾナイトがお気に入りで、幼い頃はアマゾナイトという言葉の響きだけでも謎めくロマンを感じたりもしていた。
収集癖や採取する楽しみみたいなことが幼いころから少しあったのだろう。でもそれはあくまで、常識の範疇であった。

それから数十年たち、旅をしながらアクセサリーを創り始める。当時は漂流物や旅先で出会った珍しいものや変わった形をした植物の種、そして古い硝子玉(トンボ玉)なんかを使いアクセサリーを創っていた。

ある時ネパールの方が経営しているお店で水晶に出逢った。ちょうど手に握れるくらいのサイズであった。その水晶を手に取った時に私の中でその美しさに衝撃が走った。ごつごつとしていて自然に出来た荒々しい感じ。部分的に透明だったり不透明だったりと、誰もが美しいとは言わないのかもしれないが、私の美意識の根底にあるもの、要するに感性を揺さぶられたのだと、今なら説明が付くのだが、その当時はそれが何なのか全く分からず、ただその魅力に取りつかれるには十分な経験だった。そこから一気に石にのめり込む。水晶の中でもヒマラヤにあるガネーシュヒマール産の水晶に強い興味を持っていった。ヒマラヤ水晶も当時は本当にマニアックな感じであったが、少しすると鉱石ブームが訪れる。多くの人が鉱石のブレスレットをしている様な時代が数年やってきたなぁ。
それに乗ってヒマラヤの違う鉱脈の水晶も色々と輸入されてきた感じだった。私が石に興味を持ちだした頃の鉱石屋は、まだ少し閉鎖的な業界のなごりみたいなものがあった。それでも石マニアの知り合いが少しずつ増え、そういう知人からの紹介もあって様々な石マニアと取引をさせてもらうことが出来た。

鉱石屋というのは基本石マニアがこうじて本業になるというのは世界共通といっても良いような気がしている。そういう鉱石屋が仕入れて小売店へ売るわけなので、本当に気に入ったものやレアなものは鉱石屋のコレクションに入っていく事が多い。そういったものは市場に出にくいのだけれど、知人の紹介などで個人的にそういう石を手に入れる事ができた。勿論割高にはなるのだけれど基本的に、「気になる石しか手に入れない」と思っていたので、私的にはとてもありがたかった。近年では卸業者も小売りを始めたりしているが当時は一カゴまとめて「一グラムいくら」という売り方がセオリーで良い石とそうでないものを要りまぜて販売するスタイルが主流だったし、本当に面白いものは最初に抜かれているというのが当たり前のようだったと思う。
昔から人の出逢いには恵まれているのかもしれない。また私が創るアクセサリーを面白がってくれる鉱石屋も多かったので結構面白い石を譲ってもらったりと色々な方にお世話になったなぁ。こういう出逢いには本当に感謝しかない。

私はネックレスを好んで制作する事が多かった。それはブレスレットやピアスに比べ鉱石の持つ魅力を十二分に発揮しやすいからであった。当時はブレスレットの方がつけやすさもあるので当然売れるのだけれども、それよりもネックレスばかり制作していたように思う。色々なデザインを考案してきたけれど特に石を革で包むタイプはその当時多分誰もやっていなかったと思う。これは偶々知り合ったおじさんで、その人は中国から大量に革を買い付けて、ありえないくらい安く卸売してくれる方であった。革が大量に手に入るのでこちらも独学で革細工をはじめた。それとアクセサリー創りが融合したものであった。当時は独学というと本当に情報は少なく、たまに専門書みたいなものを見ても、難しく書かれ過ぎて良くわからんという感じで、結局試行錯誤しながら自分で創ってみるしかないので膨大な時間をようする。まぁ今となってみればそれが吉とでていると思っているが、ムダと思われる時間を随分すごしたなぁ。

そういう面では私が高校を卒業したころは、職人の世界もまだ見て盗めというのが色濃く残っている時代とノウハウを売る時代の過渡期だった。職人の見て盗め時代は、普通に見せてくれる人もいれば、見せない人もいる、また人が見ているとわざとおかしなやり方をして見せる人がいたりと、それはそれで面白かったな。ある程度仕事が出来るようになると大概の事は見れば盗める事をみんな知っているから。
昨今はノウハウを売る時代からノウハウを無料で配布し広告収入を得る時代になってきたというところかな。何がいいかはわからないけれどいやおうなしに時代は移り変わっっていくものだとこの歳になってリアルに感じるようになった。

石に心奪われて2へ続く

TOP写真、右はヒマラヤ水晶 左はボルダーオパールです。


石に心奪われて
石に心奪われて 2

白砂式ペンダントトップ

使用鉱石:アクアマリンの原石とアメジスト。

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白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

20代前半人...

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