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Logo Mark脳内伝言板石に心奪われて 6〜巨石巡り

白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

20代前半人...

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「石舞台古墳」。
この遺跡もインパクトのある遺跡だ。石舞台という名前もなんだかグッとくる。見方によっては亀に見える。約30の石が積まれ、その総重量は推定2、3tに達するとされている。ピラミットなんかもそうだけれど、普通に考えてどうやって積んだんだろうと思う。やろうと思えば出来るのかもしれないが、権力とは凄いものだなぁ。でもどんなに立派なお墓だとしても、後年になって盗掘にあったり、権力闘争なんかで破壊されたりと権力者も大変だ。石舞台は蘇我馬子の墓ではないかといわれているようだが、確かな事は不明。お墓と言っても怖さみたいなものはあまり感じず、むしろ神秘的だったり、神々しさも感じる。ここは石室の中に入れるのだけれどちょうど石の隙間から光が差し込んでいた(TOPの写真)。石に囲まれた空間は静寂を感じ、妙に落ち着く。私は遺跡で展覧会が出来たらいいなとよく思うのだが、ここもそういった魅力を感じる場所だった。また、こういった場所では楽器を奏でたくなったりもする。旅をしていた頃も気持ちのいい場所を見つけてはオカリナ吹いたり、ディジュリドゥ吹いたりしていたなぁ。でも多分そういうふうに思うミュージシャンは少なくないと思う。ソロでライブしてみたいとも思うが、それこそ近年参加している「回遊型体験演 Mobile Theatre」や神話をテーマに活動しているエコツミさんとのライブなんか出来たら面白そうだ。

この時の旅は京都から奈良の明日香村を周り、その後、山添村へ興味を惹かれたので、山添村へ向かった。
山添村に入ってすぐに山添民族資料館なるものを見つけ、早速入館してみる事にした。確か廃校になった小学校か何かを資料館として利用していたように記憶している。ここでも鬼瓦が結構展示してあった。ちょっと変わった鬼瓦で魔除けというより、鶴や亀、龍といった縁起物みたいなイメージの物が多かった。私的には鬼の形相よりもこちらの方が好みであった。若い時放浪していた時も、民俗資料館があると立ち寄っていた。古い道具や生きた証に触れる事で、昔の人達の知恵みたいなものが伝わってくるのがとても良い刺激になっていた。また、ここの学芸員さんがとても親切で、こんな所に寄っていただけるだけでありがたいです。と言っていたが、こちらこそ「ありがとうございます」である。

そして「神野山」へ向かう。ここは、様々な巨石があり、古代の巨石信仰がささやかれている場所。まずは「鍋倉渓」へ到着。神野山山腹にあり、大小の黒色の岩々が幅平均25m、長さ約650mにわたり川のようにゴロゴロしている。面白いのが水は見えないが微かに水の流れる音がするので、石の下は確かに川になっている。この石の川を天の川に見立て、天の川と夏の大三角形を地上に写した場所に、天狗岩(わし座のアルタイル)、八畳岩(琴座のベガ)、王塚(白鳥座のデネブ)、北斗岩(北極星)、竜王岩(アンタレス)と各々巨石があるといわれている。その配置は偶然のものではなく、人の手が加えられた古代の祭祀の場所だったという説もある。まぁ実際はどうなんだろうか? 歩いてみた感覚ではどちらともいえないというのが正直な感じだ。運んだというのには無理があるような気がする。元々あったものに少し手を加えて祭事を行っていたというのであれば頷けるように思えた。古代の人も山の木々中にある大きな石を見れば何かを感じ祭るという事は当然あり得る話だし、日本人の感覚があれば納得する事が出来るのではないだろうか。

竜王岩。
ここで写真を撮っているとレンズの中に埃が入ってしまったのか、オーブが写り込むようになってしまった。それ以来強い太陽光が当たっていると写り込んでくる。何処にオーブが映るかもレンズを覗くとわかるので面白くなってオーブを掴んでみたり手のひらにのせたりしている写真を撮って遊んだ。

天狗岩。
山の中にひっそりとある感じで、確かに多きいと言えば大きいが、巨石というかどうかは何とも言えない。

北斗岩。
天狗岩同様に、確かに多きいと言えば大きいが、巨石というかどうかは何とも言えない。というのが正直な感想であった。

王塚。
山頂まで歩いて昇ると開けており、そこに鳥居が立っていて大塚が祭られている。展望台があり見晴らしは最高。
「山頂に古墳と言うのは珍しいことから古代人が天と交信するために造られた古代祭祀と考えるのが一般的である。東経一三六度の線上に位置する。白鳥座のデネブを表していると考えられている。」と看板に書いてあった。
ただ、なんとなく近寄りがたいというか、むやみに入ってはいけない場所みたいなムードがあったな。

八畳岩。
巡った5つの巨石の中ではここが一番好きだった。

適当に下山すると何故だか羊がいっぱいいる農場にたどり着いた。トゥクトゥクが展示してあったり、多分色々な種類の羊がいてなんとなく不思議な場所へ迷い込んだ気分になり、妙に印象深かった。

無事下山し、車へ戻る。山添村には長寿岩というのがあるというのでそこへ行ってみる事にした。

長寿岩。
これはでかいな。山添村ふるさとセンターに飾られているのだけれど、説明によると、このセンターを作るための造設工事中に出土したものらしい。若い頃、少しの間、土木工事もする石屋さんの仕事を手伝う事があったのを思い出した。山の道を広げる工事だったんだけれども、巨大な岩が出てきた。結構大きなパワーシャベルが入っている現場だったんだけれど、重すぎて(大きすぎて)どうにも動かすことが出来ない。そこで石を割る事になるんだけれど、それを目の当たりにする事が出来た。これが本当にいい経験をさせてもらったと思っている。高齢な熟練の職人でその会社の社長の親父さんなんだけれど、でかい石に乗っかりハリマワシ(石工のハンマー)でコンコン大きな石を叩いている。何をしてるのかと思えば音を聞いているのだという。泥に埋まっている石はそれ程きれいではない中で、石の目を読み、音で確かめ何処に杭をさせば石が割れるのかを読んでいく。するとこのラインに穴を開けろと指示がでる。でかいコンプレッサーが運び込まれ削岩機で直径5センチくらいの穴を幾つか開けていく。穴が開くとそこにセリヤ(鉄のクサビ)を打ち込んでいく大ハンマーで順番にセリヤを打っていくとそのうちボゴッと鈍い音と共に大きな岩は見事に真っ二つになった。石屋の親父さんが言うには、いつもでかい岩が出て困ったと呼ばれ、レッカーで運び出すとなると膨大な費用がかかるのでとても感謝はされるのだが、だからと言っていっぱい手間賃をくれるわけじゃないんだよなぁ〜と笑っていたな。
それと長寿岩にはもう一つ看板が立っておりそちらによると、「注目すべき点は、赤道、子午線とおぼしき謎の十字ベルトがあり、夏至の太陽と関係があると考えられている。また石の側面には三重の円が描かれている事が解って来た。」と書いてあった。確かにカッコいい線が入っていたが…。謎だ。

石に心奪われて 7〜巨石巡りへ続く。


石に心奪われて
石に心奪われて 2
石に心奪われて 3
石に心奪われて 4〜巨石巡り
石に心奪われて 5〜巨石巡り
石に心奪われて 6〜巨石巡り
石に心奪われて 7〜巨石巡り

石舞台古墳

天気にも恵まれ気持ちよかった。
国内最大級の方墳で、埋葬者は蘇我馬子との説が有力。

鍋倉渓

水の見えない川。
石の下を水が流れており少し音が聞こえる。

長寿岩

夏赤道、子午線とおぼしき謎の十字ベルトがあり、夏至の至の太陽と関係があると考えられている。

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白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

20代前半人...

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