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Logo Mark脳内伝言板石に心奪われて 2

白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

20代前半人...

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「植木職人時代に石の見方や木の読み方を学んだ」と、プロフィールに使っているのだが、これだけ読んでもきっと何のことだか解らない方が多いと思う。石の見方、何を見せたいかで変わるのだけれども、例えば石積み(石の壁)を作る時、自然石の顔や頭を自分なりに判断する。そしてそれをこの場所で一番生かし、また崩れないように強度も考えながら積んでいく。よく言われたのは、石を積むとそれは数十年、下手すると数百年は残るので絶対に妥協するなと言われたなぁ。アート作品の制作とは違い、限られた時間の中で最大限のパフォーマンスが求められる。石の特性を読む力と、限られた石を使い全体のバランスを考える力や、感性と体力がないと石積みは出来ない。
また木の読み方については、例えば木を手入れする時、この枝を切ると3年後どうなるかを予測しながら手入れをする。それはその木の性質や生えている環境、庭との関係性なんかを考えながら行う。まぁこういったものは経験して覚えるしかないので、ある程度まででも、自分のモノにするまでには、結構時間が掛かる。極論でいえば、一生かけても修得は難しい。植木屋においては、感性と技術の両方がないと、良いものは出来ないのかもしれない。私の経験からは、やはり現場に出て実体験するしかないのかなぁと思っている。またそういう体験をする事で、即興能力も次第に上がっていく。練習は無く、毎日が本番なのだから、そんな日々を過ごしていれば、自ずと本番に強くなり、初めて経験する事にも様々な応用が利き、それなりに上手く乗り切れるようになるのかもしれない。

 ボトルアート。

やがて私はアートと出逢って、鉱石を使ったオブジェを制作するようになっていった。知人から頂いた変わった形をした酒瓶を使って、酒瓶の中に一つの世界観を出すような物を創り始めた。ボトルシップみたいに瓶を割らずに中に船を作るのに対して、一度瓶を割って中に世界観を創ってから再度くっつけるというもの。また、そこに植物を植えた。当時私の知っている限りではガラス瓶や試験管に植物を植えているものは見た事がなかった。やがてスチームパンクの本で取り上げられるのだが、その時も編集の人たちは植物が入っている事も面白いと言って取り上げてくれた。

面白いからやっていたというのは今も変わらないが、この頃位から私なりに、彫刻という概念で制作していた。

このシリーズを初めて発表したのは、K美術館であった。館長の越沼さんもこれは新しい。是非展覧会をしようという事で企画してくれた。また、こういった作品を制作するようになると、今までは強度的にアクセサリーに向かない鉱石も使うことが出来るようになっていった。今振り返ってみると、それは私の中では、大変重要な事だったなぁ。アクセサリーにとらわれない事で、より壮大な想像力の開放をもたらしてくれた。ボトルシリーズを制作するようになって、私の楽しみの幅が大きく広がっていった。

また、これまで制作していたものには、自由に見て欲しいという思いもあり、あまりタイトルをつける必要性を感じていなかったが、ボトルシリーズを発表するようになってからは、タイトルをつける面白さを感じるようになっていった。そうやって発表していくうちに、文字のもつイメージの強さということがあるのだと体感するようになっていった。
作品を見た人が、まずは作品から受けるイメージを膨らませる。そしてもう一歩踏み込んだ人がタイトルを見る。そしてそこから受けるイメージを更に膨らませる。それは相乗効果でより大きなイメージに繋がっていく。

ある意味、言葉を紡ぐ面白さに気が付き始めたのもこの頃からだったのかもしれない。
そんなこんなで、振り返ってみれば、作品に育てられていくものだと、今ならわかる。

石に心奪われて3へ 続く

TOP写真作品タイトルは 【Paradise】〜創られた楽園へようこそ〜 です。


石に心奪われて
石に心奪われて 2

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白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

20代前半人...

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