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Logo Mark脳内伝言板創作ヒストリー 素材と創造の物語 - NO.1 Singing Washboard

白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

20代前半人...

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「創作ヒストリー 素材と創造の物語」第一回目は最近制作発表し始めている【washboard】(パーカッション)についてお話させて頂こうと思う。

そもそもパーカッションをやっているのでなんとなくは気になっていた楽器の一つではあった。洗濯板を金属製の指サックや栓抜き等で擦ったり叩いたりして音を出す楽器。ググってみると木製の物だったのを音を大きくするために金属製に改良したものらしい。先人の知恵が垣間見える素敵な話だ。
去年の初めころだったか知人にウォッシュボードに興味があるんだと話したら以前購入して使っていないから使ってくれるならと頂いたのがウォッシュボードとの出逢いだった。
頂いたウォッシュボードにペイントしたり色々な物をくっつけてみたりした。そうそう、肝心な指サックは裁縫用の指ぬきを使っている方が多いみたいなのだが、これは残念ながら私の指は太すぎて入らない(笑)。仕方がないのでブリキ板を切ったり曲げたりハンダでくっつけたりしてつくってみた。これがまた奥が深くて重さや微妙な長さの違いでかなり音が違うので今後も試行錯誤していきたいと思っている。

ウォッシュボードを創ろうと思ってまず難関ではないかと思う肝心かなめのギザギザ部分。こんなの上手くつくれないのではないかと心配したが板金屋さんが使う道具の小さい版みたいな道具をつくってギザギザにブリキの板を折ってみると、思いのほか何とかなりそうだという事がわかった。ところがこれはこれで奥が深くギザギザの幅や深さ、またそれを本体に留めた時の遊び(隙間)でもまるで別物の音となる。自分の好みの音を探し出すまで組んではばらしの繰り返しだった。そんなことをしているうちにあるアイデアが頭をよぎった。これ漂流物だけで制作したり道路に落ちているものだけで制作したり、公園で拾った物だけで制作してみたりしたら面白いのではないだろうかと。そうなると海に行きたくて仕方なくなる。そうやって翌日から海岸の散策がはじまった。久しぶりの海岸は相変わらず宝の山のように見えた。アトリエに戻って制作しては何か違う刺激的な音が欲しくて海岸へ向かう日々がしばらく続いた。

本体部分は流木を使っている。サイズ感やフィット感の良さそうで丈夫な物を探す。当然軽い方がいいが丈夫な木は見た目もいいのだが硬くて重い。そういう点では竹は両方を兼ねそろえている。
次に音の部分。海岸には漁師さんが使っていたものが流されたのだろうと思われる「浮き」が目につく。大小様々なプラスチック製なのだがプラスチックの厚みや成分の差なのかかなり音が違う。異国から流れ着いた瓶や缶。錆びついた鉄パイプや電気配線やハンガー等など。貝殻なんかも使っている。特に「漂流物で創った楽器」に関して言えば指サックを作るのに空き缶を切って成型してプラスチックをとかして溶接している。海で拾った釣りの重り(鉛)をとかしてハンダの代わりにしようとこころみたがあまり上手くいかなかった。そのうち錫製のものが手に入ったら鉛(釣りの重り)と錫でハンダを創ってみたいと思っている。

展開としては面白いタイミングで更に色々なことが絡み合うように増幅していった。去年からMobile Theatre(回遊型体験演劇)という新しい形のお芝居に生音担当で関わらせて頂いているのだが、その第二回目の公演の開催が決定した。第一回目の会場は登呂遺跡公園だったのである程度楽器を事前に仕込んでおくことが出来たのだが、今回の会場は街なかなのでそうもいかない。ならば楽器を持ち歩くのが自然の流れだし、ちょうどウォッシュボードを制作していたので、現場でのリハーサルに持っていく事にした。現場についてみてリハーサル中に金属製の指サックを付けて壁とか手摺なんかを叩いてみるとかなりいい感じで、お芝居ともマッチすることに気が付いた。ということで指サックをしているとそれだけで街中が楽器と化す。これは強い見方が出来たという感じだ。今回のMobile Theatre(回遊型体験演劇)ではウォッシュボードや金属製の指サックを付けて街中の壁や手摺等を叩いて音を奏でる事にした。

ウォッシュボードを制作していくと中々良い音に出逢えないという事がわかってくる(あくまで私の好み)。またそれ単体ではいい音がしてもくっつけてみると良さが消えてしまう物も多い。当然演奏しにくい物や配置なんかもかなり重要。一見アバウトそうに見えて実際には何度もつけたり外したり曲げてみたりしないと中々しっくりこない。まぁそこがまた面白い所でもあるのだが。

あと私としては当然ディジュリドゥを装着したくなるわけで…。

そんなこんなを繰り返している時にまた違う展開がやってきた。銀座にある「えすぱすミラボオ」という画廊から「音展」というグループ展のお誘いを受けた。音展に参加するのはこれが2回目なのだが、凄いタイミングでやってくるもんだと思った。これはもう流れ的にもウォッシュボードを中心に出展するしかないなと。そして音展の会期中にこの文章を書いている。
ここ数か月を振り返ってみると見事に繋がっていることを感じずにはいられない。人生の流れって不思議だしやっぱり面白い。

                         完

写真は【singing washboard Didgeridoo】(ディジュリドゥ付きウォッシュボード)。
Mobile Theatre(回遊型体験演劇)での1シーン。


創作ヒストリー 素材と創造の物語
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singing washboard Didgeridoo 演奏動画

廃材や漂流物等で制作したディジュリドゥ付きウォッシュボード。

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白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

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