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Logo Mark脳内伝言板創作ヒストリー 素材と創造の物語 - NO.5 【白砂勝敏展 再生のムジカ〜漂流する音〜】

白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

20代前半人...

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先日まで東静岡アート&スポーツ/ヒロバにて開催されていた静岡市文化財団企画の個展、海岸漂着物で制作した楽器や古道具で創った楽器の展覧会の事など、創作楽器について書いていきたいと思う。先ずは草刈り機の刃で制作した刃ノ音器から。

【刃ノ音器】
田舎に住んでいると夏場の草刈りは必須な作業である。背が低い草や柔らかい草の所や障害物が多い場所は鞭のタイプで刈るのだが、背の高い草や硬い茎の草は金属製の円形の刃で刈る。当然石を切ってしまったりすることが多々あるので刃が欠けて切れなくなる。今はかなり刃が安価で販売されているので研いで使うというよりは使い捨ての感覚ではないかと思う。まぁそもそも研ごうと思っても刃の部分が丸ごと欠けてしまう事も多いのでどうにもならない。
ただこれがもう他に使い道が無いのにもかかわらず何故か捨てられない。不思議と勿体ないような気になるのである。知人宅にも使えなくなった刃が錆びて重ねられていたりするので聞いてみると、やはりなんか勿体なく感じて捨てずにいるという。薄くて硬くて丸くて…美しいのかもしれない。壁に掛けるとなんだかカッコいい。

これはかなり前からなんだけれど、シンバルだけを使ったライブをしてみたいと思っていた。形もにているし叩いてみようかと思ったのが刃ノ音器の誕生に繋がっていった。部屋の壁に刃を並べて叩いてみたいと思ったのだ。

知人に使用済みの草刈りの刃があったら楽器を創りたいのでいただけないかと声をかけてみた。50枚から60枚位の刃が集まった。同じ刃でも切り込みを入れる事で音を変えれるだろうと予測はしていた。刃は結構硬くドリルで穴をあけるのは結構大変だったので去年手に入れたプラズマカッターが大活躍した。プラズマカッターメチャクチャ面白い〜。鉄が曲線に切れるって魅力的だ。鉄に絵を描いている感じ。プラズマカッターを簡単に説明すると、プラズマで鉄を溶かしてコンプレッサー(空気を溜める機械)で溶けた鉄を同時に吹き飛ばし鉄を切断する機械。自在な線が描けるし鉄が溶けた断面も魅力的なので今後も様々な作品に応用できそうだ。硬い草刈り機の刃に穴をあけたり、切り込みを入れたり大活躍だ。
それから錆び取りをして、刃を全部サンダーで削り、さわってもケガをしないようにしてある。この刃を落とすのが地味でけっこう 大変な作業だった。

さて、どうやって草刈りの刃を壁に取り付けようか?

ここからは実験の連続で、やってみないとわからない。めんどくさい反面とても面白い私の大好きな時間だ。今回は土台は以前頂いたねじれて使えない木の角材を使い。長ねじを付けてそれに刃をぶら下げる事にしたのだけれど、フェルトのじゅうたんを緩衝材につかったり、長ねじにもゴムのチューブをかぶせないといい音が出なかったり…。等々試行錯誤しながら作品は完成していった。壁につけるタイプと上部が壊れたマイクスタンドがあったのでこれまた思い付きで自立式のタイプ、あとハイハットタイプの3種類を制作した。自立式は色々と応用が利きそうなので、今後も展開したいと思っている。

先日のミュージアム白砂でのソロライブで刃ノ音器の自立式を使ったのだが、あまり長い時間演奏するには、うるさすぎるかなぁと思ったので、少しみじかめに演奏したのだが、皆さんの反応はけっこうよく、もっと長くてもいいとの声を頂いた。4月の個展にはこれをメインのライブも開催予定である。

今年は楽器作品の展覧会が続く。
3月5日から21日まで「白砂勝敏展 再生のムジカ〜漂流する音〜」。
東静岡アート&スポーツ/ヒロバにて。こちらは静岡市文化振興財団の企画でヒロバ(屋外)とコンテナギャラリー(室内)に作品を展示。屋外には海岸漂着物で制作した楽器を展示。室内には古道具で出来た楽器を展示するという結構大規模な展覧会であった。期間中2回プロミュージシャンの岡田寛行 片岡亮太 はせみきた(五十音順)を招いて4人でライブを開催。

そして今開催中(これが出るころには終わっているかもしれない)銀座のミラボオ(ギャラリー)にて音展というグループ展に参加させて頂いている。こちらは参加作家はミュージシャンというちょっと面白い企画展。ジューシィ・フルーツのイリアさんや、さとわミュージックのウォン・ウィンツァンさん、舞台美術も手掛けている舘成樹さん、世界で活躍中の仲野麻紀さん、ヤン・ピタールさんと、有名なミュージシャンが参加しており色々な側面から楽しめる企画ではないかと思う。
参加作家(順不同敬称略):ウォン・ウィンツァン、白砂勝敏、舘成樹、仲野麻紀、山崎イリア敦子、ヤン・ピタール
えすぱすミラボオwebサイト

4月静岡市のギャラリーボタニカでの個展。
3Fギャラリー「再生のムジカ 白砂勝敏個展」。
4Fギャラリー同時開催「白砂勝敏個展 銅版画展 向こう側の銀河への地図」。
期間:2023年4月15日(土)〜4月23日(日)期間中無休
刃ノ音器ミニライブ:4月22日

5月@アートカゲヤマ企画個展(藤枝市)1Fギャラリーと2Fギャラリー同時開催。
5月29日から6月4日。

だれもがワンダフルアート@グランシップ(静岡県文化財団)企画個展(静岡市)。
期間:8月26日〜9月10日
こちらはかなり大規模な展示。
会期中の9月3日にグランシップ企画のソロライブを開催予定。かなりいい環境でライブを楽しんで頂けると思う。

【創作ヒストリー 素材と創造の物語】6へ続く


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再生のムジカ〜白砂式音器〜海洋ゴミ・古道具で創った楽器の試演奏と最後に3月11日プロミュージシャンの岡田寛行、片岡亮太、はせみきた(五十音順)を招いて4人で共演したライブのダイジェスト入り。

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白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

20代前半人...

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