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Logo Mark脳内伝言板創作ヒストリー 素材と創造の物語 - NO.3-3 未来の扉と那須塩原

白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

20代前半人...

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創作ヒストリー 素材と創造の物語 - NO.3-3 未来の扉と那須塩原

前回の続き。

そうこうして今回は未来の扉だけで複数の展覧会を開催する事になった。

さぁどうしようかなぁ〜とこれまたドキドキするのだけれど、いい時間。色々なアイデアが浮かんでは消えていく。これまた偶然なのか必然なのか、別の作品制作の流れの中で、漂流物だけで楽器を創りたくなる。そうして漂流物のウォッシュボードという楽器を創り始めた。当然海岸を何日も探索する。落ちている物をみながらあれこれ想像していると、ある時、なぜかハシゴと繋がってしまった。こういう事が本当に人生を楽しくさせてくれる。

流木をスライスしてハシゴにして…自立するのも面白いかも…そうなると自立しなくてもいいし…。等々。空想は広がっていった。そうやって木彫のハシゴが生まれた。こちらも最初はハシゴなんだけれど、制作していくうちに気が付き、もはやハシゴでなくても良くなっていく。何が言いたいかというと、ハシゴを彫るという概念に捕らわれすぎると本質を見失いそうなので、ハシゴというか段々を使い、素材に順応して造形するという感覚を重視していく。こちらの彫刻作品については、着色がとても難しかった。未来の扉色に出来るものと、そうでないモノがあるように感じた。何が正しいかは定かではなく、感覚でしかないのだが、無着色で良い物もあれば、墨色が良い物等、素材なのか、形状なのか、その両方となにかプラスαがあるのか?それを見極めるのが結構難しい。それはもうひたすら作品を眺めて想像力を膨らめるしかない。そして思い切ってやるだけ。それについては作品制作って大なり小なり常にそういった事の繰り返しではあるのだが。ハラハラドキドキしながら制作は続いていく。

もう一つ、面白い素材として、去年の暮れに大量の床材を頂いた。どのくらい大量かというと2トンのユニックに一台分くらい。ただみんな半端な物ばかりで色も形状もバラバラなのだけれど。それと以前他でもそういった半端な床材をいただいていてそちらは家を直すのに使おうと思っていたのだが、今回大量に頂いたフロアーを家の修理に使い、以前いただいたものはキャンパスにしようと思い立った。というのも以前いただいた床材は無垢(本当の木)で今回頂いたものは一般的に使われているベニヤ材だったからである。どちらが良い悪いというよりも、無垢(本当の木)のほうがキャンパスにした時に面白い表現ができるかもしれないと思ったからだ。これもまたキャンパスにするのに、色々な形を試みたが次第に一つの形に集約されていった。素材的にはナラ・桜・カリンの3種類。同じように未来の扉を描くにしてもキャンパスの素材によって描き方も変わる。色の濃さだったり、水分量だったり、使う色だったり、下地の入れ方だったり。同じことを繰り返すのがあまり好きではないのでそういった事は面倒には感じず、むしろ楽しい。

そんな感じで今回の展覧会に展示する作品が出来上がっていった。そして会場の特性に合わせて何を何処へ配置するかを決めていく。大体の構想は図書館みるるには立体の彫刻作品と壁面には平面作品を展示。北風と太陽には平面作品を中心に展示しようと考えている。殆どここ数か月で制作した作品で、両会場合わせて40〜50点位展示できたらいいなぁと思っている。これに関しては会場に並べてみないとわからない。毎回多めに持って行って雰囲気を見ながら抜き差しする事が多い。特に今回のように会場が遠いと尚更である。
この文章が公開されている頃はもう展覧会は始まっているので展示を見た方は、色々あるのね、なるほどなぁ〜と思って頂けたら嬉しい。

毎回思うのだが、こういう事は流れに沿って日々過ごしているので割と自然に受け入れるというか、その時はそれしか選択肢がないというか、普通の日常なのだが、文章に起こすと妙に起承転結が見えてくるというか、色々な物が繋がって今を構築している事を気付かせてくれる。こういった記事を書く機会を与えてくださるスピナート様には感謝の気持ちしかない。

今回、企画・応援頂きました企業様・関連スタッフの皆様、本当にありがとうございました。そして、ご来場いただきました多くの皆様、SNSやメールなどで応援くださった皆様、本当にありがとうございました。

                   おしまい


関連施設
板室温泉湯宿きくや 様
板室温泉大黒屋 様
北風と太陽 様
オートキャンプ場ハピスポ 様
市立図書館みるる 様

写真はハピスポ常設作品です。


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白砂勝敏展覧会「未来の扉ー先が見えないときほど未来は明るいことが多いー」開催・栃木県那須塩原市

この度、栃木県那須塩原市の5か所(個展2ヵ所と常設展示3ヵ所)で作品がご覧いただける展覧会、白砂勝敏「未来の扉ー先が見えないときほど未来は明るいことが多いー」を開催していただく運びとなりました。
企画・応援頂きました企業様・関連スタッフの皆様、本当にありがとうございます。
地元から離れた地域での開催になりますが多くの方に見て頂けましたら嬉しく思います。
皆様よろしくお願いいたします。

会場は那須塩原市図書館みるるギャラリー(個展)、カフェレストラン&アート・北風と太陽(個展)、ファミリーオートキャンプ場ハピスポ(常設展示・ワークショップ)、板室温泉大黒屋(常設展示)、板室温泉湯宿きくや(常設展示)となります。
会場ごとに定休日や条件が違いますので下記詳細をご覧ください。

【展覧会名】未来の扉ー先が見えないときほど未来は明るいことが多いー
【開催期間】2022年8月5日(金)~9月19日(月・祝)
 ※時間等は各会場参照ください。
 ※作家在廊日:8月5日~8日、9月15日~19日。
  主に個展会場「北風と太陽」にいる予定。

【会場】
(1) 那須塩原市図書館 「みるる」ギャラリー【個展会場】
 開館時間:火~金10:00~21:00、土・日・祝日10:00~18:00、休館日:月曜日
 栃木県那須塩原市本町1番1号 TEL:0287-63-9031
(2) カフェレストラン&アート「北風と太陽」【個展会場】
 作家在廊予定:8月5日~8日、9月15日~19日
 営業時間:11:00~16:00、定休日:毎週火・水曜日・第1木曜
 栃木県那須塩原市戸田708-1 TEL:0287-73-8700
 ※カフェでゆっくりと時間を過ごしながら作品を鑑賞できます。
(3) ファミリーオートキャンプ場「ハピスポ」【常設展示・ワークショップ】
 定休日:毎週火・水曜日(夏休み期間は無休)
 栃木県那須塩原市戸田619-1 TEL:0287-74-5417
 ※森の中で自然を感じながら作品を鑑賞できます。
(4) 板室温泉湯宿「きくや」【常設展示】
 見学希望の方は事前にお問い合わせください。
 栃木県那須塩原市板室844-7 TEL:0287-69-0303
(5) 板室温泉「大黒屋」【常設展示】
 栃木県那須塩原市板室856番地 TEL:0287-69-0226

【協賛】板室温泉 湯宿 きくや・板室温泉 大黒屋・北風と太陽・ハピスポ(五十音順)

白砂勝敏ワークショップ開催!【色んなものに描く】
幼い頃、壁に落書きをして怒られたことがある方は案外少なくないのではないかと思います。
年齢を重ねるごとに四角い画用紙の中に綺麗に描く事が、当たり前のように思ってしまいがちではないでしょうか?
たまにはそこら辺にある石や樹や瓶などに、気の赴くままに描いてみてはいかがでしょうか。
石や樹や瓶などにアクリル絵の具で赴くままに色をつけます。
【開催日】8月7日(日)10:00 ~ 1回30分程度
【会場】ファミリーオートキャンプ場「ハピスポ」内「ガゼボ」周辺
【募集人数等】先着10名程度、小学生~大人、参加費無料、要予約(「ハピスポ」までTEL:0287-74-5417)
<お客様への注意>
絵の具が付くなど汚れても良い服装で来てください。
小雨決行※大雨強風など天候によって中止させていただく場合があります。

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白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
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