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Logo Mark脳内伝言板創作ヒストリー 素材と創造の物語 - NO.4 【Brain III 向こう側の銀河 完成!!】

白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

20代前半人...

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何時からか、思いついた事を書き留める事が当たり前になっていた。明確に意識したのはバイクで放浪していた頃なので、かれこれ30年くらい経つ。普段思いついたことを書き留めるのは、思いついた時書き留めるだけなのであまり意識しなくても出来るのだが、バイクを運転中はバイクを止めないとメモする事が出来ないのでバイクを止めて書き留める事になる。自ずと意識的にするようになり、そのような習慣が身についていった。バイクに乗る時はいつもウエストバックに、ペンと小さなノートが入れてあり、思いついたらすぐにバイクを止めてメモをするようにしていた。これは多分皆さんも経験があると思うが、そういった思い付きは突然閃いて一瞬で消えていき、そのまま二度と思い出せない事を経験した事があるのではないかと思う。私の場合、そういった思いついた事で、記憶のかなたへ消えていくものが過去に膨大にある。いつしかそこに執着するようになり、「なるべくはっきり意識に取り入れたい」という気持ちが強くなっていった。バイクに乗っている時に、いちいちバイクを止めてメモしてまた走り出す。しばらくするとまた新たな事を思いつきメモするためにバイクを止める。実際には結構めんどくさい行為なのだけれど割とマメに行っていた。ただ後で見返した時に、その時に抱いていたイメージがすっかり消えてしまって、何のことかサッパリわからなくなっている事や、大した意味を持たない物もかなりあるので、無駄も多く感じるが(笑)。

ある時、知人が本を大量に処分するというので、その中から数冊の絵本を頂いた。はじめはなんとなく絵本を彫刻できないかと思い、絵本を切ったり、削ったり、くっくけたりしてみた。そうこうしているうちに絵本の形を私の好みに削り出し色を塗って、作品の写真を張ったり、文字を張り付けたりして、私のイメージノートみたいなものが誕生した。そしてそれはやがて【Brain(白)】【Red Brain(赤)】【Yellow Brain(黄)】【Blue Brain(青)】【Orange Brain(橙)】【Black Brain(黒)】という作品になり、展覧会で発表するようになった。すると展覧会に来た方の中に、時々熟読してくれる方がチラホラ現れる。そんな姿を見て冊子にまとめてみようかと思い、水彩画と文字の冊子【Brain I キノウミタリュウ】を制作した。48ページを水彩画と文章を半々位に割り振り掲載した。続けて【Brain II 未来の記憶】の2冊を、ほぼ同じくらいのタイミングで発表した。それから何年たったかな、先日ようやく【Brain III 向こう側の銀河】が完成した。空いた時間を使って少しずつ編集しているのだが、実は掲載する絵も文章も、3〜4年前には揃っていたのだが、編集する時間がなかなか取れず、随分時間がかかってしまった。それでも完成する事が出来てなんだかとても嬉しい。

若い時、色々なっことを模索し、随分歩き回った。当時はやみくもに徘徊していた感じだったが、案外直感的に行動していたのかもしれない。
そんな中で私は自分の言葉で話したいと思っていた。それは色々な人と出逢い、会話している中で、言葉に重さというか、その人なりの真実みたいなものを感じる人がいたからだ。それが体験からなる知識を話しているからだと今では理解できるのだが、その頃はそういった事もよくわからなかった。ただそういった人が自分の言葉で話しているという事は感じていた。そういった事が紐解かれていき、やがてアートと出逢うのだけど、そんな事はバイクをいちいち止めて無駄に思われるような膨大なメモを取っていた頃は、微塵も考えていなかったなぁ。その頃は、ただただ思いつく事に刺激や疑問を感じ、無意味でもかまわないけど自分に真っすぐ向き合いたいと、青臭いが本気でそう思っていた。恥ずかしながらいまだにそう思っているけれど。今の時代には非効率な生き方なのだと自覚はしているが、自分の人生は、例え非効率だとしても、その都度自分に真っすぐ向き合って生きれれば良いかなと思っている。

何はともあれ【Brain III 向こう側の銀河】が完成することが出来た。1冊、2冊、3冊と数を増すごとに、何か自分の中で今まで見えなかった感情が線になって繋がり、浮き上がって見えてくる感じがしている。感情を言語化するのは難しい事かもしれないが、手探りでもいいから言語化する事で、こんなにも自分の内面が見えてくるとは、若い頃は想像も付かなかった。そういった観点からも人生無駄な事はないものだなぁと感じている。

今回、栃木での展覧会の会場の一つが図書館という事もあり入り口付近に【Brain(白)】【Red Brain(赤)】の二冊と【Brain I キノウミタリュウ】【Brain II 未来の記憶】【Brain III 向こう側の銀河】の3冊を展示。今後も多くの方に閲覧いただけたら嬉しく思う。

                 完

TOP写真は【Brain III 向こう側の銀河】。


創作ヒストリー 素材と創造の物語
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【Red Brain(赤)】

不要になった絵本を切り抜き着色した。

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白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

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