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Logo Mark脳内伝言板創作ヒストリー 素材と創造の物語 - NO.3-2 未来の扉と那須塩原

白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

20代前半人...

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前回の続き。

未来の扉を発表していくうちに、納屋にあった古いハシゴなどを組み合わせて制作した「増殖する棚」を発表する。元々立体作品に絵を描く事はこれまでにもしていたので、自然にハシゴや棚に描くようになっていった。
増殖する棚は展示会場が広ければ広がり、狭ければ縮む。私が制作した棚なんで私の他の作品とも相性が良い。

ある時、新しくオープンするオートキャンプ場ハピスポに何かアート作品を制作して欲しいとの依頼がはいった。取り合えず、現地を見に行く事に。とはいえ結構遠いので、時間的にも現場で考える時間は賞味一時間ほどしかなかったのだが、そこで思いついたというか、繋がったというのか、未来の扉色のハシゴを木の上に掛けてみたいなぁと。その旨を、伝えると一つ返事でOKがでた。20メートル以上ある大きな木に下から4〜5メートル付近から上に向かって8メートルほどのカラフルなハシゴを掛けるという作品。ハシゴがあるのが地面から4メートル位上なので下からは登れない。

そこから制作・設置に至るまではかなりハードなスケジュールだった。そのあたりの一か月半位の間にその他の展示や搬入・打ち合わせ等がもろに重なったり、キャンプ場のオープンも日程が決まっており、そちらも結構なハードスケジュールだったし、ちょうど梅雨時で天候も安定しない中、それでも何とか完成することが出来た。良かった〜(笑)。
この時は森の木々にロープを張りそれをもとにブルーシートで即席テントを張り、工事中のキャンプ場で出た廃材を使い簡易的な作業台をつくり、作業に取り掛かった。キャンプ場のオーナー様はそれを見て、これがすでにアートですねと言っていた。そう感じて頂けることがなんだかとても嬉しかった。

大きなハシゴを何本も作り、あげく、絵の具でカラフルに塗り始める姿を、キャンプ場を作っている会社の人たちは、お宅は何屋さんですか?と不思議そうに見ていたのが、なんだか面白かった(普通そうなるよね〜)。みんないい人たちばかりで設置やその他仕事しやすいように整地してくれたりと、とても協力的で、本当にありがたかった。栃木弁なのかな、なんか言い回しが優しい感じで益々那須塩原が好きになってしまった。
実際完成してみると思っていた以上に、緑の森に調和しているのだけれども存在感があり良く目立つといったのが正直な印象だった。あと何というのか、ツリーハウスはないのにツリーハウスを感じた。
こうして私としてはかなり大きい作品が完成し、これをふまえて作品が発展していく。

それから3か月程後、長野県の蓼科山 聖光寺で開催していただいた個展〜受け継ぐものへ〜の展覧会の中で、長さ80センチ位の小さなハシゴを2本、壁面にかけて絵画として発表した。この時は増殖する棚をメインに展示したので全体的にハシゴのイメージが強かったのではないかと思う。

そのまた一ヵ月後、縄文DNA野外展in三澤寺にて、小さい(小人サイズ)のハシゴを制作しそれを木に掛けていくインスタレーションを発表することができた。こちらは境内にある20メートル位の糸ヒバの木に小人サイズのハシゴをかけたインスタレーションで、なにかが住んでいそうなイメージの作品になった。この時誰かが教えてくれたのだが、中国の古い話でハシゴを使って天から神様的存在が下りてくるというお話があると教えてもらった。私的にハシゴは上がっていくイメージが強かったので、なんだか目から鱗というか、新しい見方をすることが出来るようになった。そういう概念がひっくり返るみたいなところがアートの面白さでもある。ただのハシゴがどんどん進化していくというか新たな道を広げていってくれる。

そんな中、板室温泉大黒屋に常設して頂いている小さなハシゴをみて購入したいという方が何人か現れる。そういった流れの中で今回の企画が生まれた。企画としては数か所の会場で未来の扉だけで展開するという感じだった。私としては色々な会場に色々な作品を展示したくなるのだが、今回は未来の扉だけで開催する事に同意した。

また期間中、前半一週間、後半一週間ほど栃木に滞在することになったのだが、今回の宿泊先はオートキャンプ場ハピスポに泊めていただく事になった。シャワーや諸々充分な設備と真夏に避暑地でキャンプというのもちょっと面白い。私はテントでの旅人時代が長かったのだが、ここ数年キャンプをしていないので今回は久しぶりにそこら辺も楽しもうかとワクワクしている。この仕事をしていると結構遠方へ出かける事が多いい。その都度宿泊先もバラバラで温泉付きマンションを用意していただく事もあれば、ビジネスホテルの時もある。ギャラリーに泊めて頂いたり、ギャラリーオーナー等がもつ別荘に泊めて頂いたり、知人宅に泊めて貰った事もあったなぁ。あと意外と気楽なのが車中泊だったりするがその場合近くにお風呂がないと厳しいので意外と少ない。まぁ結構たくましくないとやっていけないのかもしれない。

創作ヒストリー 素材と創造の物語 - NO.3−3へ続く


関連施設
板室温泉湯宿きくや 様
板室温泉大黒屋 様
北風と太陽 様
オートキャンプ場ハピスポ 様
市立図書館みるる 様

写真はハピスポ常設作品です。


創作ヒストリー 素材と創造の物語
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白砂勝敏展覧会「未来の扉ー先が見えないときほど未来は明るいことが多いー」開催・栃木県那須塩原市

この度、栃木県那須塩原市の5か所(個展2ヵ所と常設展示3ヵ所)で作品がご覧いただける展覧会、白砂勝敏「未来の扉ー先が見えないときほど未来は明るいことが多いー」を開催していただく運びとなりました。
企画・応援頂きました企業様・関連スタッフの皆様、本当にありがとうございます。
地元から離れた地域での開催になりますが多くの方に見て頂けましたら嬉しく思います。
皆様よろしくお願いいたします。

会場は那須塩原市図書館みるるギャラリー(個展)、カフェレストラン&アート・北風と太陽(個展)、ファミリーオートキャンプ場ハピスポ(常設展示・ワークショップ)、板室温泉大黒屋(常設展示)、板室温泉湯宿きくや(常設展示)となります。
会場ごとに定休日や条件が違いますので下記詳細をご覧ください。

【展覧会名】未来の扉ー先が見えないときほど未来は明るいことが多いー
【開催期間】2022年8月5日(金)~9月19日(月・祝)
 ※時間等は各会場参照ください。
 ※作家在廊日:8月5日~8日、9月15日~19日。
  主に個展会場「北風と太陽」にいる予定。

【会場】
(1) 那須塩原市図書館 「みるる」ギャラリー【個展会場】
 開館時間:火~金10:00~21:00、土・日・祝日10:00~18:00、休館日:月曜日
 栃木県那須塩原市本町1番1号 TEL:0287-63-9031
(2) カフェレストラン&アート「北風と太陽」【個展会場】
 作家在廊予定:8月5日~8日、9月15日~19日
 営業時間:11:00~16:00、定休日:毎週火・水曜日・第1木曜
 栃木県那須塩原市戸田708-1 TEL:0287-73-8700
 ※カフェでゆっくりと時間を過ごしながら作品を鑑賞できます。
(3) ファミリーオートキャンプ場「ハピスポ」【常設展示・ワークショップ】
 定休日:毎週火・水曜日(夏休み期間は無休)
 栃木県那須塩原市戸田619-1 TEL:0287-74-5417
 ※森の中で自然を感じながら作品を鑑賞できます。
(4) 板室温泉湯宿「きくや」【常設展示】
 見学希望の方は事前にお問い合わせください。
 栃木県那須塩原市板室844-7 TEL:0287-69-0303
(5) 板室温泉「大黒屋」【常設展示】
 栃木県那須塩原市板室856番地 TEL:0287-69-0226

【協賛】板室温泉 湯宿 きくや・板室温泉 大黒屋・北風と太陽・ハピスポ(五十音順)

白砂勝敏ワークショップ開催!【色んなものに描く】
幼い頃、壁に落書きをして怒られたことがある方は案外少なくないのではないかと思います。
年齢を重ねるごとに四角い画用紙の中に綺麗に描く事が、当たり前のように思ってしまいがちではないでしょうか?
たまにはそこら辺にある石や樹や瓶などに、気の赴くままに描いてみてはいかがでしょうか。
石や樹や瓶などにアクリル絵の具で赴くままに色をつけます。
【開催日】8月7日(日)10:00 ~ 1回30分程度
【会場】ファミリーオートキャンプ場「ハピスポ」内「ガゼボ」周辺
【募集人数等】先着10名程度、小学生~大人、参加費無料、要予約(「ハピスポ」までTEL:0287-74-5417)
<お客様への注意>
絵の具が付くなど汚れても良い服装で来てください。
小雨決行※大雨強風など天候によって中止させていただく場合があります。

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白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。

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