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脳内伝言板地図のない旅 (2) 2000キロを飛来する蝶

白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

1973年生まれ 静岡県出身 造形家/演奏家 農業高校造園科卒業 美術音楽共に独学。
パーカッション ディジュリドゥ奏者。

二十代前半人生は一度きりだと腹をくく...

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八重山諸島の島には八重山時間というか独特な時間の流れがある。そしてその事を島民はもちろんだが旅行者さえも皆、肌で感じている。何というか気持ちいいゆっくりな時間。
だけど島ごとに独特の文化みたいなモノを感じる。

昨今隣町へ出かけても変わらない風景とは違い離島巡りはとても楽しい。
島には様々な悲しい歴史が多々ある。島人と一緒に泡盛を飲むと歌や踊りの後にポツリポツリと戦争を語ってくれる。忘れてはいけない事だと私なりに受け止めていた。
島人は何というか温かみがにじみ出ていて皆優しい。

マー君のところに住み込みで働いているM君という子がいて、なんでヨナグニに来たのかと尋ねるとゲンゴロウを捕まえに来たという。
始め何のことかわからず思わずゲンゴロウって何?と聞き返すと、えっゲンゴロウ知らないの?田んぼとかにいるゲンゴロウ捕まえに来たんだ〜と言われ ええーっ!!まさか沖縄まで〜ええ〜っ!!
やはり世の中知らない事ばかりで、一般的に虫屋といわれる昆虫マニアで、すでにモリゴキブリの新種を発見しているという。またなんかのクワガタ(名前忘れました)の世界最大を発見しその世界では一躍有名だったらしい。でも彼は純粋で貧乏していたがそれをお金に換えたりはしていなかった。

そういえば島では時々折り畳みの網を持ち自転車でウロウロしている観光客を見かける。
それは蝶屋と呼ばれる珍し蝶をさがしているマニアなんだそう。

本当に色んな人がいるし知らない事ばかりだ。

蝶々ってひらりひらりと海を越えるものもいる事を知り驚いた事をよく覚えています。

数年前富士山の村山古道を登っている時にアサギマダラを見る事があった。
この蝶は2000キロもの距離を移動しながら生息しているらしい。

この蝶は、時期、空間、植物の状況に柔軟に対応して飛んでいるらしく、台風を活用して移動したり、雨が降る前に一気に移動したりと気象を読む能力に優れているとの事。

自分も少なからず目に見えないけれど自然の力を感じて生きているのだろうけれど現代では常に命がけという意識がないのでそういう能力は低下していくのかなと時折感じる。

アサギマダラはとても綺麗な色なのだが鳥などに捕食されることはほとんどないという。
幼虫の時に食べるガガイモ科のキジョランの葉や、成虫になって吸うキク科のヒヨドリバナの蜜に含まれるアルカロイドという毒を体内に蓄積しているかららしい。

蝶も鳥も生存本能というのかな、野生って本当に凄い。

毒と言えば、島に来た当初どう見ても里芋の葉っぱがいっぱい生えてるのを見て食えるかなと思い掘っていた。
そこで本当にたまたま通りかかった島人に「ニーニーそれ食うなよ〜クワズイモだからネ〜こないだも運ばれた人いたからサァ」と…これは生存本能とかではなくただラッキーだっただけですが。

話は戻るが、
それよりなにより驚いたのは写真を撮ろうとカメラを覗くと蝶の羽に字が書いてあるように見える。えっいや確かに書いてある。

後で調べてみると、生態系を観測するために学者さん達が蝶の羽にマーキングをすることがあるのだそう。
本当に知らないことが多すぎる〜

地図も持たず本能でひらりひらりと毒を使い身を守りその姿は美しいアサギマダラ。
アサギマダラを見ていると、そもそも地図って本能の中に組み込まれていてその都度危険を察知したり、豊かさや繁栄のためにどう生きるべきか等、本能でかぎ分けて進めば行先は開かれて行くのかもしれないなぁと思えてくる。

文章を書きながらずいぶん昔のこととちょっと前のことが蝶を通して繋がってしまった。

その他に島のヤンキー兄ちゃんのオサと仲良くなった。
何処であったか最初の出逢いは記憶のかなたへ行ってしまい覚えていませんがなんか気が合ったし確か同い年だったように記憶しています。

島には週一回、島の商店の物資を乗せた貨物船が来ていた。
オサの紹介でその時船からの積み下ろしや商店の倉庫へ運ぶバイトもしました。
島人は自分たちには標準語でしゃべってくれるのだが島人同士の会話は単語すらわからないので全くわからない。
与那国島には3つの集落がある。
その部落ごとに更に方言が存在していてるという。
自分には違いすら分からないのだが。
遠い異国へ来たみたいというかなんだか暗号を聞いている感じがした。

少し動いただけでも色々な出逢いがあり未知の体験が待っている。
その出逢い一つ一つを時間をかけて大切に受け止める。それが積もり積もって自分なりの人生哲学を構築していくのだと今は理解できる。
でもこのころはそんなこと考える発想も無く。

ただ未来に向かい猛進していた事は確かだったと思う。

※TOPの写真は富士山で見たアサギマダラです。
アサギマダラ


BRAIN II 「未来の記憶」より

【同時代】
自分が生まれた時から40数年の間に
この地球上から絶滅した数種類の生物がいる
         白砂勝敏


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1973年生まれ 静岡県出身 造形家/演奏家 農業高校造園科卒業 美術音楽共に独学。
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