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Logo Mark脳内伝言板地図のない旅 (13) 200通の手紙-2

白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

1973年生まれ 静岡県出身 造形家/演奏家 農業高校造園科卒業 美術音楽共に独学。
パーカッション ディジュリドゥ奏者。

二十代前半人生は一度きりだと腹をくく...

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旅先からも時々出逢った人へ手紙を書いた。まだメールとかも無かったわけで連絡手段と言えば電話か手紙が主流だった。そういえばテレホンカードとか何だか懐かしい。旅人と手紙ってなんだかしっくりくる感じだ。

そういえば去年栃木県の温泉旅館で一ヵ月間泊りながら個展を開催していた時に旅館の女将さんが不思議そうな顔して一通の個性的なハガキを持ってきてくれた。知人が旅行先から個展会場へ手紙をくれた。意外な所で受け取る手紙は嬉しかったし、面白い事するなぁと記憶にしっかり刻まれる。

旅人はバックパッカーとかキャンパーとかと呼ばれていた。今はどうなのかは知らないが当時は長期旅行者はキャンパーネームというニックネームを知らぬ間につけられ気が付くと周りの人は皆その名で呼ぶ。大概上手い事つけたね〜って感じのその本人ならではで面白い。毎日ハモニカ吹いてる奴は「トレモロ」とかそんな感じだ。本名とか聞いても忘れてしまう事が多いし、凄く仲良くなって何年も付き合ってるのに名前を知らないことも結構ある。

それが日本の郵便屋さんはとても有能であだ名で手紙を送っても住所さえあっていれば届けてくれる。しかも例えば管理者がいない無料のキャンプ場にも届けてくれる。本当に凄いなぁと思ったのは沖縄の西表島のただの砂浜にまで郵便屋さんは手紙を届けてくれる。しかもあだ名しか書いてない手紙をもってこの人今ここにいますか〜と探しだして届けてくれるのには感動すら覚えた。

199X年ふらりと出かけ結局一年近くかけて日本一周した。夏の北海道やねぶた祭りを巡り東北を抜け日本海沿いをのんびり進み鳥取砂丘にラクダがいる事に驚いたりして、海底の道を通れるとドキドキしながら進むと関門海峡はびっりするくらい短くて面食らった。
単なる無知な若造は見るものすべてが新鮮で無知ゆえの大きな不安の中でもがきながら無知ゆえの無謀さを武器にただただ進んでたんだと思う。
九州から沖縄へ渡り八重山諸島をのんびり巡り屋久島の山の中を縦走し、四万十川を遡り、室戸岬で食べたカツオのたたきは絶品だった。那智の滝は想像以上に高かった。地元に戻り実家へ帰るのだが毎回これが何とも言えない気持ちになる。旅の終わりの寂しさというか、このまま終わりにしていいんだろうか?やり残した事何かないだろうかとか、何というかすぐには帰りたくない。それでも終わりはやってくる。

無事に帰宅。

そこにはとんでもなく感動的な出来事が待っていた。
旅先で出逢った多くの人から200通位の手紙が届いていた(一人で何通もくれる方もいた)。流石に両親も驚いていた。というか何事かと思っていたというのが本音らしい。なにしろその殆どが両親は聞いたこともないあだ名で送られてきたものだから。
これを見た時旅は終っていないんだと、いや旅は終わらないんだって事を深く理解し、多くの人に支えられて生きているんだと実感した。帰ってからしばらくは汚い字で一生懸命返事を書いた。


Brain II 【未来の記憶】より

【求】

時が流れている事を知っているから
皆自分だけの何かをとかもうとしている

           白砂勝敏

【エスパクルスの灯】

2012制作、金属、水入り両晶スモーキークオーツ、蛍石、100Vコンセント付き。

暗闇の中 不安とトキメキを握りしめ 手探りで歩いてる
過去から未来へ 脈々と続く 先人たちの息吹を感じ
振り返ると 時々 誰かが足元をほんの少し照らしてくれていた気がする
この混沌とした時代の中でも その光をしっかり感じて生きていきたい
そしていつか自分もそんな者になりたい

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白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

1973年生まれ 静岡県出身 造形家/演奏家 農業高校造園科卒業 美術音楽共に独学。
パーカッション ディジュリドゥ奏者。

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