2019/10/14
静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。
20代前半人...
旅に出ると時々耳にする振り子とかワタリといわれる旅人。
バイクにまたがり、夏になると北海道に渡り、秋には羅臼で鮭の工場に住み込みで働き、冬になると沖縄にわたり製糖工場(サトウキビ)でバイトを何年も振り子のようにいったり来たりする旅人。
その話を聞いたとき、そんな生き方もあるのだと感心したのを覚えている。
旅に出るとずっと旅していたいと思う人は少なくないと思う。
自分の場合もそうだった。
地元にいると何というか体がうずくという表現がピッタリだった。
結果7〜8年くらい旅に費やしたのだが、結果的に自分の場合は何処にいても旅人でいられるようになった。自分の人生から旅というジャンルがなくなったというか旅しかなくなったというべきか。
ある年も桜前線と共に北へ向かう自分がいた。
この時はスズキのTS200Rハスラーというオフロードバイクで旅に出た。
北の大地はオフロードバイクにとっては水を得た魚のごとく楽しかったが、北海道は隣町まで遠い。
スタンドが中々無いので2ストの小さいタンクで燃費が悪いバイクはいつも燃料の事が気がかりだった。
このころはそんな心配もあって調理用にガソリンバーナーを使っていた。
最悪の場合バーナーのガソリンを移せるからなのだが、レギュラーガソリンだと鍋が煤け真っ黒になるという難点があった。バーナーを改造したりしてみたがやはり完全に煤を消すのは無理だった。
基本的にキャンプ場に入る事もなく天気にもよるが河原の橋の下等に泊まる事が多かった。
釣りがしたいのと食料もゲットできるのでという単純な理由だが規制されたキャンプ場が苦手という事もあった。
そんな中でも北海道のキャンプ場では幾つか面白いところがあった。
その一つが鳥沼キャンプ場だった。
富良野の町はずれの森にある無料のキャンプ場で水道とトイレがあるくらいの質素な感じだが泊っているキャンパーの殆どが長期滞在者でキャンプ場から仕事に行く奴はざらで、中には新聞とっている奴もいた(笑)。
夜中までギター弾きながら歌ってるやつ、なんか叫んでるやつ、裸で走り回っているやつ、バイカー、チャリダー、トホダー、車等旅のスタイルも様々だった。
なんというか一般的な旅行者を受け付けない様な変なムードがあったと思う。
毎年富良野でおこなわれている「北海へそ祭り」の時期になると更に濃いやつらが集まってくる。
皆おなかに人の顔を描いて頭は大きな笠で覆い町を練り歩くのだが、なんだか知らんがキャンプ場に居合わせた奴らも皆仮装して町の人と一緒に練り歩くのである。
皆準備に何日もかけ、女装したり、男装したり、壊れた軽トラックをデコレーションして皆で引き回したりしてメチャクチャ楽しかったのを覚えている。
一瞬だが倉本 聰の北の国からのへそ祭りシーンに映ったやつもいた。
皆それぞれ何かを求めて旅をしていた。
同じ時代に偶々行き会い、いっぱいいっぱい語り明かした。
当時世間では「語る」という言葉をうっとおしい物のように言う風潮があったが、尽きることのない語らいが不思議と自分の行く末を見出してくれたり、人を理解しようと一生懸命に話を聞いていると何故か自分の事が理解できたりすることもあった。そういうものに皆惜しげもなく時間を費やしていたのだと今なら理解できる。
もちろんけんかになる事もあったが皆やりあった後には必ずと言っていい程ちゃんと和解していた。
そしてそれはいずれ笑い話になる。
なんにしても皆一本ねじが外れているという感じはあったが、常識がないわけでも無いので話が全く通じないということはなくとても楽しかった。
それから数年後このキャンプ場は閉鎖されたと聞き、素直にそれはそうだろうなと思ったのを覚えている
BRAIN I 「キノウミタリュウ」より
【目的の無い突然変異】
進化とは決して進歩ではなく また目的があるわけでもないらしい
目的が無いのは悪いことじゃない
自分にできる事を本気で楽しめばいんじゃない
やりたい事が見つからないのは悪いことじゃない
今日できる事を本気で楽しめばいんじゃない
自然と積み重ねられて
変異は突然やってくるから
白砂勝敏
静岡県出身、造形家/演奏家。
農業高校造園科卒業、美術音楽共に独学。
美術家、演奏家、パーカッション、ディジュリドゥ、ムビラ奏者。
20代前半人...
準備中