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Logo Mark脳内伝言板地図のない旅 (4)

白砂勝敏(Shirasuna Katsutoshi)

1973年生まれ 静岡県出身 造形家/演奏家 農業高校造園科卒業 美術音楽共に独学。
パーカッション ディジュリドゥ奏者。

二十代前半人生は一度きりだと腹をくく...

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旅先で出逢うものは人だけではないことを旅を続けていると気付く事になる。

海岸に流れ着く波で綺麗に洗われた貝殻。
生まれて育って命尽き 波にもまれ砕け洗われ砂浜に流れ着く。
中には100年以上経ったものももあるだろう。

貝殻一つとっても長い時間をかけて自分と出逢ったと思うと感慨深く、
風化したそのフォルムや質感が私の美意識を揺さぶる。

異国から流れ着いた漂流物や静岡では見たこともない熱帯植物の種子。
海岸に流れ着いた屋久杉や異形の流木

とにかく気になった物を採取し持ちきれなくなると実家へ送った。
実家では時折送られてくる段ボールを開けるたびにガラクタが入っているのであいつはいったい何処で何をやっているんだと心配していたそうだ。(笑)

そういえば当時はケータイも無く便りが無いのは元気な知らせと皆言っていたように思うが気が付けばケータイがない生活は今は想像もつかない。

話は戻るが、その時採取したものが20年以上たった今作品となるとは、
その当時全くアートに接点が無ない自分には考えてもみなかった事だが、
そこが人生の面白さだと今なら理解できる。

若い頃は無駄かもしれないと思う事にはなかなか手が出せなかったように思う。
興味は引かれるのだが一見無駄かもと思うことに時間をかけるのはある種の勇気が必要だった。

人生色々なことが積み重なってくると本当の意味で無駄な事はないと自覚する。
そうなると思ったことを行動に移す事にあまり躊躇しなくなって来て、やりたい事をやりたいだけやれるようになってきた。

年取ると冒険できなくなると聞いていたが、年と共に本当の冒険が出来る様になっていくと感じている。
何処で何をしていても自分の判断次第でいつでも大冒険ができる様になった。
若いころのように刺激を求めて遠い異国の地へ行かなくても未知の世界は玄関を開けただけでも無限に広がっている。
それを実感するまでに随分時間がかかったけれど、一見無駄だと思われる事にかなりの時間をかけたおかげで揺るがない核みたいなものを手に入れることが出来たのかもしれないとこれを書きながら思う。

旅の中で綺麗な貝殻や美しいものと出逢った瞬間 一瞬優しい気持ちが生まれる事を少しずつ認識し始めたりもした。

それは俗な自分には青臭さを感じ恥ずかしくもあるのだが、自分をごまかす事は出来ないのだから仕方ない。

認識する前と後では感じ方も変わる。
認識することで失われるものもあるかもしれないが、
理解することで新たな進化(閃き)を生む事がある。

そう考えると歳をとるほどに純粋さを増している。

こんなに純粋に感じたまま生きたら壊れてしまうのではないかと心配になるくらい純粋に生きてもよいのだと知ることが出来た。

そう、総ては自分の人生で、
自己責任で地に足をつけて歩いて行けたならば

思い通りにあの人に逢いに行き、
今日も明日も明後日も、
思いのままに行きたいところへ出向き

胸いっぱい空気をすえばいいんだと。


BRAIN II 「未来の記憶」より

【稀人】

みんな将来のために生きている
今を生きている人にはめったに出逢えない

   

           白砂勝敏


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